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2話.窓を閉めても消えないタバコ臭——密室にあった意外な原因

窓を閉め切り、エアコンを止め、給気口すら完全に塞いでいる。
それなのに、なぜ深夜の「密室」に濃密なタバコの煙が満ちてくるのか。

2月15日、僕は「言った言わない」にならないよう、契約時の窓口だった不動産会社に連絡を入れた。
僕が暮らすアパートには管理会社がなく、大家さんとは電話か対面でしかやり取りができない。

「窓もエアコンも止めているのに、異臭が自室に流入してきます。
激しい頭痛や動悸、うっ血感まで出て深刻な状態です。
浴室の換気扇を回すと症状が悪化するため、換気経路からの流入を疑っています。
調査対応をお願いできませんか」

不動産会社の担当者は「明日、大家さんから直接電話をさせます」とだけ返してきた。

その夜、大家さんから一本の電話があった。
しかし、受話器から聞こえてきたのは、僕の訴えを霧散させるような、ひどく消極的な言葉だった。

「……うーん、他の住人がタバコを吸っていてもねえ、やめろとは言えないし、私はどう対応したらよいかねえ」

肩透かしを食らったような感覚だった。
僕は、「建物の賃貸借契約書に人体に有害な物質の持ち込み及び使用を禁止する条項もある」「少なくとも入居者への周知など何らかの対応を行ってほしいと」必死に食い下がった。
しかし大家さんが主体的に動いてくれる気配は微塵も感じられなかった。

「このままでは何も変わらない。
僕の身体も、愛猫アキの小さな命も削られ続ける」。

僕は画面の中で静かに瞬くAIに向き直り、「窓を閉めていても異臭が自室に侵入する場合」の原因特定方法について相談した。

ここから「AIが指示し、僕が確認する」という二人一役の点検が始まった。

最初の疑いはキッチンの換気扇だった。
古い集合住宅では換気ダクトが繋がっており、他室の臭いが逆流することがある。

AIは次の実験を提案してきた。
・キッチン・浴室の換気扇を止める
・換気扇をそれぞれONにして、自室のベランダにある排気口らしき設備にティッシュを当てて排気がされるか、確認する。

試してみると、キッチンと浴室の換気扇は別々の排気口から排気しているようだった。
換気扇は自室の排気口から戸別で排気している。
他室からのダクト逆流の可能性は低くなった。

次は部屋の給気口だった。

僕は給気口を閉めていた。
給気口から煙が入り込んでいるのではないかと思ったからだ。

AIの提案は「給気口を開けてみましょう」だった。


半信半疑で、異臭がしている時に給気口を少しだけ開けてみた。
給気口から入ってい来る空気を嗅いでいると、体の苦しさが少し和らいだ。

また、窓も開けたほうが症状は弱まる感覚があった。

AIは告げた。
「給気口は部屋に必要な空気の入口だったのかもしれません。
給気口を閉め切ることで、部屋が変な場所から空気を吸っている可能性があります。」

「部屋が空気を吸っている変な場所・・?」

続けて、AIは僕が伝えていた「浴室換気扇を回していると頭痛がする」という点から質問を続けた。

「浴室はユニットバスですか? 
それなら浴室に点検口はありませんか?
そこを開けて、換気扇本体やダクトの有無を確認してみてください」

「点検口をーー?」
半信半疑で点検口の蓋を外した次の瞬間——

「… くっさ」

タバコの匂いが、はっきりと鼻を突いた。
点検口の中は木造で天井裏のようになっていて、目の前には浴室の換気扇があった。

僕はAIに状況を伝えた。
次のAIの指示通り、いちど点検口の蓋を閉めて浴室換気扇を2分間回した後、再び点検口内の匂いを嗅いだ、、

「……っ、うわ、くさっ!」匂いが明らかに強くなっていた。

換気扇でを回すと、部屋の中の空気は外へ出ていく。
では、その分の空気はどこから入ってくるのか。
正規の入口である給気口を閉めていれば、部屋は別の隙間から空気を吸うしかない。
点検口、天井裏、配管スペース……。

そこに他室由来の臭気が回っていたとすれば、
換気扇を回すほど、逆に臭いを引き込んでしまう。

AIの予想は実験を通して、現実味を強めていた。
臭いの通り道は部屋の外側ではなく、部屋の内側——天井裏にある可能性が出てきた。

半信半疑ながら、点検口の蓋の隙間を養生テープでしっかりと塞いでみた。
完全に消えたわけではないが、臭いの濃度はやや下がった。

・点検口を開けるとタバコ臭がした
・換気扇を回した後に匂いが強くなった
・点検口の蓋まわりを養生テープで塞ぐと臭いが緩和された

「原因が完全に判明した」とまでは言えない。
しかし「煙が建物のどこかを伝い、点検口を通じて僕の部屋に忍び込んでいる」
という可能性は、かなり高まった。

(3話に続く)

※本記事は個人の法的トラブルにおける体験談であり、具体的な法的アドバイスや医学的根拠を保証するものではありません。
同様のトラブルに遭われている方は、必ず弁護士や医師などの専門家にご相談ください。

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